核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第五十九条の二第一項及び第二項(第六十六条第二項において準用する場合を含む。)並びに第六十四条第一項並びに核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令(昭和三十二年政令第三百二十四号)第十七条の三の規定に基づき、並びに同法を実施するため、核燃料物質等の工場又は事業所の外における運搬に関する規則を次のように定める。
(定義)
第一条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 車両運搬 工場又は事業所の外における鉄道、軌道、索道、無軌条電車、自動車又は軽車両による運搬をいう。
二 簡易運搬 工場又は事業所の外における車両運搬以外の運搬(船舶又は航空機によるものを除く。)をいう。
三 核燃料輸送物 核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物(以下「核燃料物質等」という。)が容器に収納されているものをいう。
四 コンテナ 運搬途中において運搬する物自体の積替えを要せずに運搬するために作られた運搬器具であつて、反復使用に耐える構造及び強度を有し、かつ、機械による積込み及び取卸しのための装置又は車両に固定するための装置を有するもののうち、非開放型の構造のものをいう。
五 タンク 気体、液体又は固体を収納する容器をいう。
五の二 金属製中型容器 金属製の容器であつて、運搬中に生じる応力に耐える構造及び強度を有し、かつ、内容積が三立方メートル以下のもののうち主務大臣(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「法」という。)第五十九条第一項各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定める大臣をいう。以下同じ。)の定める基準に適合するものをいう。
六 専用積載 鉄道、軌道若しくは無軌条電車の車両、索道の搬器、自動車、軽車両又は外接する直方体の一辺が一・五メートル以上のコンテナ(内容積が三立方メートルを超えるものに限る。)が一の荷送人によつて専用され、かつ、運搬する物の積込み及び取卸しが荷送人又は荷受人の指示によつて行われる積載の方法をいう。
七 放射線業務従事者 核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則(昭和三十二年総理府・通商産業省令第一号)第一条第四号、核燃料物質の加工の事業に関する規則(昭和四十一年総理府令第三十七号)第一条第二項第四号、試験研究の用に供する原子炉等の設置、運転等に関する規則(昭和三十二年総理府令第八十三号)第一条の二第七号、実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則(昭和五十三年通商産業省令第七十七号)第一条第二項第七号、実用舶用原子炉の設置、運転等に関する規則(昭和五十三年運輸省令第七十号)第二条第二項第七号、研究開発段階にある発電の用に供する原子炉の設置、運転等に関する規則(平成十二年総理府令第百二十二号)第二条第二項第七号、使用済燃料の貯蔵の事業に関する規則(平成十二年通商産業省令第百十二号)第一条第二項第四号、使用済燃料の再処理の事業に関する規則(昭和四十六年総理府令第十号)第一条第二項第五号、核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物の廃棄物埋設の事業に関する規則(昭和六十三年総理府令第一号)第一条第二項第六号、核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物の廃棄物管理の事業に関する規則(昭和六十三年総理府令第四十七号)第一条第二項第五号又は核燃料物質の使用等に関する規則(昭和三十二年総理府令第八十四号)第一条第四号に規定する放射線業務従事者をいう。
八 放射線 原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)第三条第五号に規定する放射線又は一メガ電子ボルト未満のエネルギーを有する電子線若しくはエックス線であつて、自然放射線以外のものをいう。
(核燃料輸送物としての核燃料物質等の運搬)
第三条 核燃料物質等は、次に掲げる核燃料物質等の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める種類の核燃料輸送物として運搬しなければならない。
一 危険性が極めて少ない核燃料物質等として主務大臣の定めるもの L型輸送物
二 主務大臣の定める量を超えない量の放射能を有する核燃料物質等(前号に掲げるものを除く。) A型輸送物
三 前号の主務大臣の定める量を超える量の放射能を有する核燃料物質等(第一号に掲げるものを除く。) BM型輸送物又はBU型輸送物
2 前項の規定にかかわらず、放射能濃度が低い核燃料物質等であつて危険性が少ないものとして主務大臣の定めるもの(以下「低比放射性物質」という。)及び核燃料物質等によつて表面が汚染された物であつて危険性が少ないものとして主務大臣の定めるもの(以下「表面汚染物」という。)は、主務大臣の定める区分に応じ、IP―1型輸送物、IP―2型輸送物又はIP―3型輸送物として運搬することができる。
3 前二項に掲げるL型輸送物、A型輸送物、BM型輸送物、BU型輸送物、IP―1型輸送物、IP―2型輸送物及びIP―3型輸送物は、それぞれ次条から第十条までに規定する技術上の基準に適合するものでなければならない。
(L型輸送物に係る技術上の基準)
第四条 L型輸送物に係る技術上の基準は、次の各号に掲げるものとする。
一 容易に、かつ、安全に取扱うことができること。
二 運搬中に予想される温度及び内圧の変化、振動等により、き裂、破損等の生じるおそれがないこと。
三 表面に不要な突起物がなく、かつ、表面の汚染の除去が容易であること。
四 材料相互の間及び材料と収納される核燃料物質等との間で危険な物理的作用又は化学反応の生じるおそれがないこと。
五 弁が誤つて操作されないような措置が講じられていること。
六 開封されたときに見やすい位置に「放射性」又は「Radioactive」の表示を有していること。ただし、主務大臣の定める場合は、この限りでない。
七 表面における主務大臣の定める線量当量率が五マイクロシーベルト毎時を超えないこと。
八 表面の放射性物質の密度が主務大臣の定める密度(以下「表面密度限度」という。)を超えないこと。
九 核分裂性物質(ウラン二三三、ウラン二三五、プルトニウム二三九、プルトニウム二四一及びこれらの化合物並びにこれらの一又は二以上を含む核燃料物質(主務大臣の定めるものを除く。)をいう。以下同じ。)が収納されている場合には、外接する直方体の各辺が十センチメートル以上であること。
(A型輸送物に係る技術上の基準)
第五条 A型輸送物に係る技術上の基準は、次の各号に掲げるものとする。
一 前条第一号から第五号まで及び第八号に定める基準
二 外接する直方体の各辺が十センチメートル以上であること。
三 みだりに開封されないように、かつ、開封された場合に開封されたことが明らかになるように、容易に破れないシールのはり付け等の措置が講じられていること。
四 構成部品は、摂氏零下四十度から摂氏七十度までの温度の範囲において、き裂、破損等の生じるおそれがないこと。ただし、運搬中に予想される温度の範囲が特定できる場合は、この限りでない。
五 周囲の圧力を六十キロパスカルとした場合に、放射性物質の漏えいがないこと。
六 液体状の核燃料物質等が収納されている場合には、次に掲げる要件に適合すること。
イ 容器に収納することができる核燃料物質等の量の二倍以上の量の核燃料物質等を吸収することができる吸収材又は二重の密封部分から成る密封装置(容器の構成部品のうち、放射性物質の漏えいを防止するための密封措置が施されているものをいう。以下同じ。)を備えること。ただし、法第五十九条第三項の規定により承認を受けた容器(BM型輸送物又はBU型輸送物に係るものに限る。)を使用する場合は、この限りでない。
ロ 核燃料物質等の温度による変化並びに運搬時及び注入時の挙動に対処し得る適切な空間を有していること。
七 表面における主務大臣の定める線量当量率が二ミリシーベルト毎時を超えないこと。ただし、専用積載として運搬する核燃料輸送物であつて、核燃料物質等車両運搬規則(昭和五十三年運輸省令第七十二号)第四条第二項並びに第十九条第三項第一号及び第二号に規定する運搬の技術上の基準に従うもののうち、安全上支障がない旨の主務大臣の承認を受けたものは、表面における主務大臣の定める線量当量率が十ミリシーベルト毎時を超えないこと。
八 表面から一メートル離れた位置における主務大臣の定める線量当量率(コンテナ又はタンクを容器として使用する核燃料輸送物であつて、専用積載としないで運搬するものについては、表面から一メートル離れた位置における主務大臣の定める線量当量率に主務大臣の定める係数を乗じた線量当量率)が百マイクロシーベルト毎時を超えないこと。ただし、核燃料輸送物を専用積載として運搬する場合であつて、安全上支障がない旨の主務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
九 核燃料物質等の使用等に必要な書類その他の物品(核燃料輸送物の安全性を損なうおそれのないものに限る。)以外のものが収納されていないこと。
十 主務大臣の定めるA型輸送物に係る一般の試験条件の下に置くこととした場合に、次に掲げる要件に適合すること。
イ 放射性物質の漏えいがないこと。
ロ 表面における主務大臣の定める線量当量率が著しく増加せず、かつ、二ミリシーベルト毎時(第七号ただし書に該当する場合は、十ミリシーベルト毎時)を超えないこと。
十一 主務大臣の定める液体状又は気体状の核燃料物質等(気体状のトリチウム及び希ガスを除く。)が収納されているA型輸送物に係る追加の試験条件の下に置くこととした場合に、放射性物質の漏えいがないこと。
(BM型輸送物に係る技術上の基準)
第六条 BM型輸送物に係る技術上の基準は、次の各号に掲げるものとする。
一 前条第一号から第九号までに定める基準。ただし、同条第六号イに定める要件は、適用しない。
二 主務大臣の定めるBM型輸送物に係る一般の試験条件の下に置くこととした場合に、次に掲げる要件に適合すること。
イ 前条第十号ロの要件
ロ 放射性物質の一時間当たりの漏えい量が主務大臣の定める量を超えないこと。
ハ 表面の温度が日陰において摂氏五十度(専用積載として運搬する核燃料輸送物にあつては、輸送中人が容易に近づくことができる表面(その表面に近接防止枠を設ける核燃料輸送物にあつては、当該近接防止枠の表面)において摂氏八十五度)を超えないこと。
ニ 表面の放射性物質の密度が表面密度限度を超えないこと。
三 主務大臣の定めるBM型輸送物に係る特別の試験条件の下に置くこととした場合に、次に掲げる要件に適合すること。
イ 表面から一メートル離れた位置における主務大臣の定める線量当量率が十ミリシーベルト毎時を超えないこと。
ロ 放射性物質の一週間当たりの漏えい量が主務大臣の定める量を超えないこと。
四 運搬中に予想される最も低い温度から摂氏三十八度までの周囲の温度の範囲において、き裂、破損等の生じるおそれがないこと。
五 主務大臣の定める量を超える量の放射能を有する核燃料物質等が収納されている核燃料輸送物にあつては、主務大臣の定める試験条件の下に置くこととした場合に、密封装置の破損のないこと。ただし、安全上支障がないと主務大臣が認める場合は、この限りでない。
(BU型輸送物に係る技術上の基準)
第七条 BU型輸送物に係る技術上の基準は、次の各号に掲げるものとする。
一 第五条第一号から第三号まで、第四号本文、第五号、第六号ロ及び第七号から第九号まで並びに前条第五号本文に定める基準
二 主務大臣の定めるBU型輸送物に係る一般の試験条件の下に置くこととした場合に、前条第二号イからニまでに定める要件に適合すること。
三 主務大臣の定めるBU型輸送物に係る特別の試験条件の下に置くこととした場合に、前条第三号イ及びロに定める要件に適合すること。
四 摂氏零下四十度から摂氏三十八度までの周囲の温度の範囲において、き裂、破損等の生じるおそれがないこと。
五 フイルタ又は機械的冷却装置を用いなくとも内部の気体のろ過又は核燃料物質等の冷却が行われる構造であること。
六 最高使用圧力(運搬中に予想される周囲の温度及び日光の直射の条件の下で、排気、冷却その他の特別な措置を採らない場合に、一年間に核燃料輸送物の密封装置内に生じる気体の最大圧力(ゲージ圧力をいう。)をいう。)が七百キロパスカルを超えないこと。
(IP―2型輸送物に係る技術上の基準)
第九条 IP―2型輸送物(次項に該当するものを除く。)に係る技術上の基準は、次の各号に掲げるものとする。
一 前条に定める基準
二 主務大臣の定めるIP―2型輸送物に係る一般の試験条件の下に置くこととした場合に、第五条第十号イ及びロに定める要件に適合すること。
2 IP―2型輸送物(核燃料物質等を収納する容器がコンテナ(収納する核燃料物質等が固体の場合に限る。次条第二項において同じ。)、タンク又は金属製中型容器であるものに限る。)に係る技術上の基準は、次の各号に掲げるものとする。
一 前条に定める基準
二 前項第二号に定める基準又はこれと同等と主務大臣の認める基準
(IP―3型輸送物に係る技術上の基準)
第十条 IP―3型輸送物(次項に該当するものを除く。)に係る技術上の基準は、次の各号に掲げるものとする。
一 第五条第一号から第八号までに定める基準。ただし、同条第六号イに定める要件は、適用しない。
二 主務大臣の定めるIP―3型輸送物に係る一般の試験条件の下に置くこととした場合に、第五条第十号イ及びロに定める要件に適合すること。
2 IP―3型輸送物(核燃料物質等を収納する容器がコンテナ、タンク又は金属製中型容器であるものに限る。)に係る技術上の基準は、次の各号に掲げるものとする。
一 第八条に定める基準
二 第五条第三号から第五号までに定める基準、第六号ロに定める要件に適合すること及び前項第二号に定める基準又はこれと同等と主務大臣の認める基準
(核分裂性物質に係る核燃料輸送物の技術上の基準)
第十一条 第四条第九号に規定する核分裂性物質を第三条の規定により核燃料輸送物として運搬する場合には、当該核分裂性物質に係る核燃料輸送物(主務大臣の定めるものを除く。以下「核分裂性輸送物」という。)は、輸送中において臨界に達しないものであるほか、次の各号に掲げる技術上の基準に適合するものでなければならない。
一 主務大臣の定める核分裂性輸送物に係る一般の試験条件の下に置くこととした場合に、容器の構造部に一辺十センチメートルの立方体を包含するようなくぼみが生じないこと。
二 次のいずれの場合にも臨界に達しないこと。
イ 主務大臣の定める孤立系の条件の下に置くこととした場合
ロ 主務大臣の定める核分裂性輸送物に係る一般の試験条件の下に置いたものを主務大臣の定める孤立系の条件の下に置くこととした場合
ハ 主務大臣の定める核分裂性輸送物に係る特別の試験条件の下に置いたものを主務大臣の定める孤立系の条件の下に置くこととした場合
ニ 当該核分裂性輸送物と同一のものであつて主務大臣の定める核分裂性輸送物に係る一般の試験条件の下に置いたものを、主務大臣の定める配列系の条件の下で、かつ、当該核分裂性輸送物相互の間が最大の中性子増倍率(原子核分裂の連鎖反応において、核分裂により放出された一個の中性子ごとに、次の核分裂によつて放出される中性子の数をいう。以下同じ。)になるような状態で、当該核分裂性輸送物の輸送制限個数(一箇所(集合積載した当該核分裂性輸送物が、他のどの核分裂性輸送物とも六メートル以上離れている状態をいう。)に集合積載する核分裂性輸送物の個数の限度として定められる数をいう。以下同じ。)の五倍に相当する個数積載することとした場合
ホ 当該核分裂性輸送物と同一のものであつて主務大臣の定める核分裂性輸送物に係る特別の試験条件の下に置いたものを、主務大臣の定める配列系の条件の下で、かつ、当該核分裂性輸送物相互の間が最大の中性子増倍率になるような状態で、輸送制限個数の二倍に相当する個数積載することとした場合
三 摂氏零下四十度から摂氏三十八度までの周囲の温度の範囲において、き裂、破損等の生じるおそれがないこと。ただし、運搬中に予想される最も低い温度が特定できる場合は、この限りでない。
(六ふつ化ウランに係る核燃料輸送物の技術上の基準)
第十一条の二 六ふつ化ウランを第三条の規定により核燃料輸送物として運搬する場合には、当該六ふつ化ウランに係る核燃料輸送物は、次に掲げる技術上の基準に適合するものでなければならない。
一 当該六ふつ化ウランの容積は、封入又は取出しの時に予想される最高温度において、容器の内容積の九十五パーセントを超えないこと。
二 通常の運搬状態において、当該六ふつ化ウランが固体状であり、かつ、容器の内部が負圧となるような措置が講じられていること。
2 主務大臣の定める量以上の六ふつ化ウランが収納されている核燃料輸送物(以下「六ふつ化ウラン輸送物」という。)にあつては、前項の基準に加え、次に掲げる技術上の基準に適合するものでなければならない。
一 主務大臣の定める六ふつ化ウラン輸送物に係る耐圧試験の条件の下に置くこととした場合に、放射性物質の漏えいがなく、かつ、受け入れられない応力が発生しないこと。
二 主務大臣の定める六ふつ化ウラン輸送物に係る一般の試験条件の下に置くこととした場合に、放射性物質の漏えいがなく、かつ、弁に損傷のないこと。
三 主務大臣の定める六ふつ化ウラン輸送物に係る特別の試験条件の下に置くこととした場合に、密封装置に破損がないこと。
四 安全弁、逃がし弁その他の容器の内部の流体の排出による過圧防止効果を有する装置を備えないこと。
3 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる技術上の基準については、それぞれ当該各号に定める基準をもつて代えることができる。
一 前項第一号に定める基準 同号の耐圧試験の代替試験として主務大臣の定める試験条件の下に置くこととした場合に、放射性物質の漏えいがなく、かつ、受け入れられない応力が発生しないこと。
二 前項第三号に定める基準 重量九千キログラム以上の六ふつ化ウランを収納する場合には、主務大臣が適当と認める基準に適合すること。
(核燃料輸送物としないで運搬できる低比放射性物質及び表面汚染物の運搬)
第十二条 次に掲げる低比放射性物質及び表面汚染物は、第三条の規定にかかわらず、同条第一項及び第二項に定める核燃料輸送物としないで運搬することができる。
一 主務大臣の定める低比放射性物質であつて、次に掲げる要件に適合するもの
イ 通常の運搬状態において、放射性物質が容易に飛散し、又は漏えいしないような措置が講じられていること。
ロ 専用積載として運搬すること。
二 主務大臣の定める表面汚染物であつて、次に掲げる要件に適合するもの
イ 前号イに掲げる要件
ロ 専用積載として運搬すること。ただし、表面の放射性物質の密度が主務大臣の定める密度を超えないものは、この限りでない。
(特定核燃料物質の運搬)
第十三条の二 第三条又は前条の規定により運搬する核燃料物質であつて、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令(以下「令」という。)第四十七条に規定する特定核燃料物質のうち次のいずれかに該当するものを運搬する場合には、当該特定核燃料物質を収納する容器に施錠及び封印をしなければならない。ただし、容易に開封されない構造の容器を用いる等施錠及び封印と同等以上の措置を講じたときは、この限りでない。
一 照射されていない次に掲げる物質
イ プルトニウム(プルトニウム二三八の同位体濃度が百分の八十を超えるものを除く。以下この条において同じ。)及びその化合物並びにこれらの物質の一又は二以上を含む物質であつて、プルトニウムの量が二キログラム以上のもの
ロ ウラン二三五のウラン二三五及びウラン二三八に対する比率が百分の二十以上のウラン並びにその化合物並びにこれらの物質の一又は二以上を含む物質であつて、ウラン二三五の量が五キログラム以上のもの
ハ ウラン二三三及びその化合物並びにこれらの物質の一又は二以上を含む物質であつて、ウラン二三三の量が二キログラム以上のもの
二 照射された前号に掲げる物質(令第二条第二号に規定するガラス固化体に含まれる照射された前号に掲げる物質であつて、その表面から一メートルの距離において、当該物質から放出された放射線が空気に吸収された場合の吸収線量率(第四号において単に「吸収線量率」という。)が一グレイ毎時を超えるものを除く。)
三 照射されていない次に掲げる物質
イ プルトニウム及びその化合物並びにこれらの物質の一又は二以上を含む物質であつて、プルトニウムの量が五百グラムを超え二キログラム未満のもの
ロ ウラン二三五のウラン二三五及びウラン二三八に対する比率が百分の二十以上のウラン並びにその化合物並びにこれらの物質の一又は二以上を含む物質であつて、ウラン二三五の量が一キログラムを超え五キログラム未満のもの
ハ ウラン二三五のウラン二三五及びウラン二三八に対する比率が百分の十以上で百分の二十に達しないウラン並びにその化合物並びにこれらの物質の一又は二以上を含む物質であつて、ウラン二三五の量が十キログラム以上のもの
ニ ウラン二三三及びその化合物並びにこれらの物質の一又は二以上を含む物質であつて、ウラン二三三の量が五百グラムを超え二キログラム未満のもの
四 照射された前号に掲げる物質であつて、その表面から一メートルの距離において吸収線量率が一グレイ毎時以下のもの
五 令第二条第三号に規定する特定核燃料物質
(簡易運搬に係る技術上の基準)
第十四条 法第五十九条第一項の主務省令で定める技術上の基準(簡易運搬に係るものに限る。)は、第三条から第十三条までに定めるもののほか、次の各号に掲げるとおりとする。
一 第三条、第十二条又は第十三条の規定により運搬される核燃料物質等(以下「運搬物」という。)を積載し、又は収納した運搬機械又は器具(簡易運搬に係るものに限る。以下「運搬機器」という。)の表面における主務大臣の定める線量当量率が二ミリシーベルト毎時を超えず、かつ、表面から一メートル離れた位置における主務大臣の定める線量当量率が百マイクロシーベルト毎時を超えないようにすること。
二 運搬物の運搬機器への積付けは、運搬中において移動し、転倒し、又は転落するおそれがないように行うこと。
三 運搬物は、同一の運搬機器に主務大臣の定める危険物と混載しないこと。
四 二以上の運搬物(その表面における主務大臣の定める線量当量率が五マイクロシーベルト毎時を超えるもの及び第十一条の基準に適合する核分裂性輸送物に限る。以下この号において同じ。)を一の運搬機器に積載し、又は収納して運搬する場合は、放射線障害防止及び臨界防止のため、主務大臣の定めるところにより、当該積載し、又は収納する運搬物の個数を制限すること。
五 運搬物(第三条第一項第一号のL型輸送物を除く。以下この号において同じ。)を運搬する場合は、次に掲げる措置を講ずること。
イ 当該運搬物の運搬に従事する者は、運搬物の取扱方法、事故が発生した場合の措置その他の運搬に関し留意すべき事項を記載した書面を携行すること。
ロ 当該運搬物の運搬に従事する者は、消火器、放射線測定器、保護具その他の事故が発生した場合に必要な器具、装置等を携行すること。
ハ 人の通常立ち入る場所においては、運搬物又は運搬機器を置き、又は運搬物の積込み、取卸し等の取扱いを行わないこと。ただし、縄張、標識の設置等の措置を講じたときは、この限りでない。
六 第三条第一項第三号のBM型輸送物を運搬する場合は、次に掲げる措置を講ずること。
イ 法第二十二条の三第一項の核燃料取扱主任者免状若しくは法第四十一条第一項の原子炉主任技術者免状を有する者又はこれらと同等の知識及び経験を有する者を同行させ、及び積込み、取卸し等に立ち合わせることにより、核燃料物質等の放射線管理、核燃料物質等の運搬に従事する者の被ばく管理その他核燃料物質等の保安のために必要な監督を行わせること。
ロ 交通が混雑する時間及び経路を避けること。
七 運搬物には、主務大臣の定めるところにより、標識の取付け又は表示をすること。
八 放射線業務従事者の線量が主務大臣の定める線量限度を超えないようにすること。
(運搬に関する確認の申請)
第十六条 法第五十九条第二項の規定により、運搬に関する確認(独立行政法人原子力安全基盤機構(以下「機構」という。)が行うものを除く。)を受けようとする者は、令第四十八条の表第一号に該当する場合にあつては別記様式第一(簡易運搬に係る確認を受けようとする場合にあつては、別記様式第二)による確認申請書に次の各号に掲げる書類、同表第二号に該当する場合にあつては別記様式第一による確認申請書に第一号から第五号までに掲げる書類及び特定核燃料物質を収納する容器について講じられる当該特定核燃料物質の防護のための措置に関する説明書を添えて、主務大臣に提出しなければならない。
一 運搬する核燃料物質等に関する説明書
二 前号の核燃料物質等を収納する容器(以下「輸送容器」という。)の構造及び材質(以下「輸送容器の設計」という。)並びに当該核燃料物質等を当該輸送容器に収納した場合の核燃料輸送物の安全性に関する説明書
三 輸送容器の製作の方法に関する説明書
四 輸送容器が第二号の輸送容器の設計及び前号の輸送容器の製作の方法に従つて製作されていることを示す説明書
五 輸送容器が第二号の輸送容器の設計及び第三号の輸送容器の製作の方法に適合するよう維持されていることを示す説明書
六 核燃料輸送物の発送前の点検に関する説明書
七 簡易運搬にあつては、核燃料輸送物の運搬方法及びその安全性に関する説明書
2 前項第二号、第三号及び第四号に掲げる書類については、法第五十九条第三項に規定する承認を受けた輸送容器を使用して核燃料物質等を運搬する場合にあつては、当該書類の提出を省略することができる。
3 第一項の確認申請書の提出部数は、正本及び副本各一通とする。
4 機構が行う法第五十九条第二項に規定する確認を受けようとする者は、法第六十五条第一項に規定する事務規程で定めるところにより、申請書を機構に提出しなければならない。
(容器承認の申請)
第十七条の二 法第五十九条第三項の規定により、輸送容器について承認を受けようとする者は、別記様式第三による容器承認申請書に、次の各号に掲げる書類を添えて、主務大臣に提出しなければならない。
一 当該輸送容器で運搬することを予定する核燃料物質等に関する説明書
二 当該輸送容器の設計及び前号の核燃料物質等を当該輸送容器に収納した場合の核燃料輸送物の安全性に関する説明書
三 当該輸送容器の製作の方法に関する説明書
四 当該輸送容器が第二号の輸送容器の設計及び前号の輸送容器の製作の方法に従つて製作されていることを示す説明書
五 当該輸送容器が第二号の輸送容器の設計及び第三号の輸送容器の製作の方法に適合するよう維持されていることを示す説明書
2 前項第二号に掲げる書類については、主務大臣の定めるところにより、当該書類の提出を省略することができる。
(危険時の措置)
第十八条 法第六十四条第一項の規定により、原子力事業者等及び原子力事業者等から運搬を委託された者は、核燃料物質等の工場又は事業所の外における運搬に関し、次の各号に掲げる応急の措置を講じなければならない。
一 核燃料輸送物に火災が起こり、又は核燃料輸送物に延焼するおそれのある火災が起こつた場合は、火災の消火又は延焼の防止に努めるとともに、直ちにその旨を消防吏員に通報すること。
二 核燃料輸送物を他の場所に移す余裕がある場合には、必要に応じてこれを安全な場所に移し、その場所の周囲には縄を張り、標識等を設け、及び見張人を配置することにより、関係者以外の者が立ち入ることを禁止すること。
三 放射線障害の発生を防止するため必要がある場合には、運搬に従事する者及び付近にいる者に避難するよう警告すること。
四 核燃料物質等による汚染が生じた場合には、速やかに、汚染の広がりの防止及び汚染の除去を行うこと。
五 放射線障害を受けた者又は受けたおそれのある者がいる場合には、速やかに、その者を救出し、避難させる等緊急の措置を講ずること。
六 その他放射線障害を防止するために必要な措置を講ずること。
2 前項各号に掲げる緊急作業を行う場合には、第十四条第八号の規定にかかわらず、放射線業務従事者(女子については、妊娠不能と診断された者及び妊娠の意思のない旨を原子力事業者等及び原子力事業者等から運搬を委託された者に書面で申し出た者に限る。)をその線量当量が主務大臣の定める線量限度を超えない範囲内において緊急作業に従事させることができる。